舞台衣装としてのコスチューム



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舞台衣装としてのコスチューム-4

考察

ファッションショーの時はコスチュームを中心に考えていた。今回の『夏の夜の夢』はファッションショーのようにコスチュームを最重要に考えていたが、進めるうちに意識が変化した。
タイテーニア側は夢のように美しく、オーベロン側はうごめくような妖しさなど、自由奔放に表現していった。頭で創造したキャラクターを完璧に形にしていく作業は容易でなかった。各コスチュームのデザイン画はあっても、突き詰めて実物にしていくことであやふやな考えでは何も生み出せないと実感した。舞台では細かすぎるものは伝わらない。「木」のボレロは編んでいる風合いが遠くから見たとき伝わらず、何度もサンプルを作り直した。対象から30メートルも離れて確認するというスケールの大きさに驚いた。
「木」を製作する課程で一番苦労したのは舞台装置である。擬態妖精の親玉で、中から2人の妖精が出てくるので2人が入ることの出来る大きなものを造らなければならなかった。デザインが決まった当初は「人が入ったまま動けるもの」を要求された。中に入る2体のコスチュームの大きさが想像できない。装置を作るための条件は、軽い素材、増設ができるもの、円形の形がつくれるもの、コスチュームと一体化できるものであった。籐で作り始めたが、2人が中に入れるようになるまで何度も増設を繰り返し、作業時間の3分の2以上は装置にあてた。完成したと思ってもコスチュームを着てヘッドをつけると全く大きさが変わってしまい、高さも幅も増やした。そこで誤算だったのが、ステージの幅を考えていなかった。装置を着た妖精が動くと考えて作ったが、演出で装置は全く動かないことになっていた。最終的に軽いため人の手で運ぶことが出来ることがプラスになり、ステージにも入りきったが、演出との連携がうまくとれていなかったことが自分達の首を絞めることとなった。
『夏の夜の夢』を終えて、舞台衣装としてのコスチュームとは要求され、希望された線にそって、多種多様なデザインを自分の中から掘り出して表現することであると実感した。舞台衣装は固定観念を捨て洋服という殻から抜け出し、頭を柔軟に想像力とアイデアに満ちた世界である。


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